写真上の歯は、80歳を超えた あるご夫婦のお口の中です。このように、80歳を超えても、自分の歯が20本以上あるように、今から歯についてよく理解し、大切にしていきたいですね。
歯が白くなったり、茶色くなったり、色が変わったところが、むし歯の始まりです。
歯医者さんでは、これを「CO」と呼んでいます。
「C」はむし歯のことを指します。
「CO」と言われた時のむし歯は、しっかり気をつけていると、健康な歯に戻ることがあります。
歯の外側は、ヒトの体の中で1番固い「エナメル質」と呼ばれる物質でできています。
これは、カルシウムやリンでできています。
その下に、エナメル質より少し軟らかい「象牙質」があり、それらに守られるようにして、
歯に栄養を運ぶ血管や神経がある部分(=歯髄)が存在します。
「CO」は、むし歯の始まりではありますが、まだ穴が空いていません。
これは、むし歯による窪みはないけれど、
エナメル質がむし歯になりかけているのです。
そのままにしておくと、象牙質・歯髄まで進み、
むし歯の穴はどんどん大きくなって、
最後には抜歯しなければならなくなります。
左の図をご覧下さい。
なにか歯にネバネバしたものがくっついています。これは食事の後の食べかすが残ってできた「プラーク」というものです。
プラークの中にいるのは「ミュータンス菌」です。ミュータンス菌は、歯に付いた食べかす・・・特に砂糖が大好きです。
ミュータンス菌は、プラークの中にあるたくさんの砂糖から たくさんの酸を作っていきます。
酸によって歯が溶けてしまう現象を「脱灰(だっかい)」といいます。脱灰が起きると、歯の表面がだんだん白くなったり、茶色くなってきます。これを「CO」といいます。
そして、そのままにしておくと、むし歯になってしまいます。
上の写真では、食事の後の食べかすが残ってできたプラークがむし歯を作っているのがよく分かります。歯茎に近いところや歯と歯の間に磨き残しがあります。そのプラークを取り除いてみると、歯茎に近い部分や歯と歯の間が白くなっているのが分かります。(=CO)真ん中の部分はCに進行してしまい、少し凹んでしまっています。
先ほどお話しました「脱灰」は20分ほど続きます。
その後は、唾液が酸の力を弱め、次第に酸はなくなっていきます。そして、唾液は歯の表面のエナメル質からカルシウムなどが溶け出すのを止め、元の状態に直して、硬く、強くしていきます。(=再石灰化)
むし歯のある人は、この再石灰化よりも脱灰の力の方が大きくなっているのです。
※ 次回は、虫歯予防についてのお話です。
参考資料:
「むし歯予防大作戦 ~ COってな~に? ~」 企画:日本学校歯科医会