先日、9月27日 大阪国際会議場
(グランキューブ大阪)にて
第39 回(社)日本口腔インプラント学会
学術大会が開催されました。
10000人以上のインプラント学会員ですが、当日 大阪には4000人以上が集まりました。
当院の院長は、27日(日)9:00~10:30
座長・講師として、女性インプラントロジスト育成のためのセミナー
「女性の力をインプラントの未来へ」と題し、お話しました。
インプラント治療は臨床家から多くのトラブルが大学に持ちこまれため、
長い間、否定的評価に甘んじていました。
やがて、大学および研究施設が本腰を入れた結果「安全確実なインプラント」の座を得ました。
「女医になっても家庭を持たなかったら親は死に切れない」が母の口癖でしたが、
時は移り、女性インプラントロジスト育成セミナー が開催されるに至りました。
男性の素晴らしさは もちろんですが、女性ならではの特質を提供し、歯科医療に貢献できれば
インプラントロジスト冥利に尽きます。
開業医の妻である私は、2人の娘を出産後 歯科大に編入し、歯科医師となり、
インプラントの黎明、最盛期に時を同じくしました。今もインプラント三昧の日々です。
23年前 当院で 海外青年協力隊から帰国した先生が遣り残したインプラントを
汗だくだくで、仕方なく埋入したのが私のインプラントの始まりでした。
家事・育児・経理・人事・隣組・PTAなど 多くは 主婦の役目でしたが、
開業医は自由人であるため有利でした。
友人男性曰く、「男性が女性を意識しない(女を感じない)ドクターが長く続くねえ。」
しかし、本音の女性を友に持ち、男性と積極的に話せる女性歯科医師と共にいる・
効率よい動作・手順と優先順位を常に考え続け、計画性ある日々を心がける・
睡眠時間の短縮と健康管理、 以上だけでも所在の無さを感じない。
伴侶同伴はオンナを意識しないで行動できる。
子育て中の諸付き合いは悪くなるが、この間 手を抜くと 延々と手がかかる。
必ず いつか あなたの「望ましい時」は来る。
悩みは「女性インプラントロジストが増えれば」解消する。
良き友人と師・研修施設は、キーポイントであり、認証医・専門医、
そして指導医は知識の整理であり自身を守る。
己が押し潰されそうな時、歯科は わが心のよりどころでした。
自己を見失うことなく、良き歯科人生をインプラントと共に過ごすことが出来ました。
インプラントの出会いは23年前になりますが、私の人生はENDOの創成期
そして、インプラントの充実期と、2つの大きな歯科界の転機に乗り、
開業医としては充実した人生に身をおくことができました。
思えば、今 何が必要かと切迫したときに、それに必死で対処しているうちに、
今日を迎えたと思います。
私の経験が少しでも皆様のお役に立つならば嬉しく存じます。
卒後は同時に2つの大学で矯正、小児歯科、細菌学を学びました。
症例① 最初のインプラント
23年前に、右下にインプラントを埋入したまま 担当歯科医が退職開業されまして、
患者様に左のインプラントはどうなるのか?と言われ、急遽情報を収集して
汗だくで最初のインプラントを埋入したのが始まりでした。
以来、困りましたから いろいろな講習会に出席するようになりました。
Endoで 持ちそうな歯を抜歯してインプラントにする症例をみて
「えー!その歯抜いちゃうのー?」と、インプラントには消極的でありました。
ポツポツ インプラントをするうちに・・・・・・症例② 10年前
Drショッピングを行う歯科心身症の症例に出会いました。
リエゾン療法の診療科でしばらく学ばせて頂くことになりました。
症例が増えてくると、骨造成の必要性が出て、難症例が増えてきました。
ザイゴマのガデイバ実習にぺラデニア大学研修に行ったり、海外研修が非常に増えてきました。
症例③
上顎洞の解剖の必要性を感じて、頬骨下稜線と上顎洞および歯牙配列との関係に興味を持ち、
学ぶうちに 本学会で発表をさせていただきました。
以上のように、次々と 終わりのない日々となってしまいました。
これまで私を支えてくれたものは・・・・
・ 私の知りたい病
・ 友人のたくさんの一言(認定医を一緒にとろうよという一言)。
普通のなんでもないような女性歯科医が、なんと!国際インプラント学会の会員試験を
とっくに受けていて、それは自慢でも、欲でもなく、何か必要なものをさらりと物にしていく
さりげなさに共鳴しました。
・ 長い目で黙って私を許容してくださった、主人・姑の理解
・ 男性歯科医のさりげない友情
・ 良き師・良き研修・担当業者の良きアドバイス(ITI)
・ ノーベルバイオケアーの懐の大きさで、静岡県インプラント研究会会長時代に
Dr.Maloを無料派遣してくださったこと。
・ 化粧品会社で研究員として勤務したとき、研究成果を出す難しさを痛感しました。
研究者が報われることの少ない成果に、日々心身を注いだものを勉学せずに
知らないままに歯科医療をしたら 患者様にも研究者にも申し訳ないと思ったことが
実は、私の留まることの無い、勉学意欲へ駆り立てているのかと思います。
ひたすら その時 すべきことに専念したことにより、今、ますます 皆様の協力を得ることができ、
楽しいインプラントライフを過ごしております。
開業医の良さは・・・・
・ 自分でスケジュールを立てられること。
・ 休んで海外研修にいけること。(多方面の友人ができること・女性は少し不便だが。)
・ 良いと思うことはすぐに実行できること。
・ 海外研修も最近は1年とか2年の充実コースがあり、卒業論文審査を経て、
大学卒業生としての資格と特典が与えられている
症例④
必要に迫られて学ぶうちに、上部構造のインプラントのスクリュー固定とセメント固定の是非が
数年前話題になりました。たまたま その時 私は、歯内療法で、ポストをはずす器具を開発中であり
KAKOプライヤーの名前で、日本とアメリカの両方で特許を取得しました。
その器具で、オッセオインテグレーションしたインプラントは容易に上部構造をはずすことができます。
更に、若い男性歯科医に受け入れられて、
頻繁に海外の学会にも主人と楽しく同伴させていただいている。
かつては、学会症例は すごいなー・・・と、よそ事でしたが、
研修同期の者たちが、共にステップアップし、学会発表しようということとなり、
また一段と向上しあうことが出来ました。
まさに Yes, We Can. Yes, You Can であります。
しかしそのうち、能力の限界を知り、年齢の限界を知りましょう。
若いうちにがんばってください。若い人に対する未来は限りなく想像を超えます。
人の命にかかわる歯科医療は 限りなく奥が深く、学べば学ぶほど、私たちの人生を
心豊かにしてくれます。
歯科医になった使命と幸せを今一度かみしめて、私たちの最善を尽くしましょう。
専門医制度はあなたを 患者様に喜ばれる すばらしい歯科医に育てます。
民間研修施設18施設中、15施設からいただいたアンケートによりますと
10年間に学んだ歯科医は、3349名。そのうち女性は234名。
全体の6.9%でありました。
女性は出産・家事育児と、年齢的に難しい一時期がありますが、
勉学は生涯かけてできます。正しい歯科医療に貢献していきましょう。
良き師・良き仲間・良き家族(良きスタッフ)を大切にしましょう。
家族というものは譲り合い、我慢しあい、互いを大切に思う心を育てる基本です。
男性諸先生方の一層のご理解をいただいて、女性歯科医が男性と同じレベルを維持し、
患者様に正しい最新の医療を提供できるようご理解をお願いする次第です。
教育の場においては、女性ならではの教育者がたくさん育っていくように
益々のご理解をお願いしたいと存じます。
向上心の持続と学びの継続。
その結果は、苦しくはない 楽しい歯科人生、インプラント人生の展開を約束します。
川口和子