歯も作ることができる時代に?IPS細胞

IPS細胞 【Induced Pluripotent Stem cells】 を日本語でいうと、

「人工(誘導)多能性幹細胞」といいます。

 

骨髄の中にある色々な細胞に分化できる能力を持っている親のような細胞です。

何にでもなることができるらしいです。

心臓の細胞にもなることができるらしいので、もし心筋梗塞などで

壊死してしまったようなところに骨髄の細胞を培養して、

心臓の細胞になるように増やしてあげて、そこに移植することもできるようになるのでは?

・・・と、いわれています。

 

 

歯も作ることができます。

できますが、それを口の中に入れて、果たして伸びるかどうか、まだよく分かっていません。

親知らずのように、横を向いて生えてくるとか、そういうことになったら

全く意味がないですしね。^^;

 

 

そういう細胞を取ってくるのは、現在 脊髄が1番多いです。

 

麻酔はしますが、脊髄の中に ブスッ と針を入れて チュ~ と

引っ張って持ってくるので、ものすごく痛いらしいです。

 

 

そういうものではなく・・・

幹細胞と同じ細胞が歯の中にもあるのです。

幹細胞「カンサイボウ」:

複数系統の細胞に分化できる多分化能力と、

細胞分裂をしても多分化能を維持できる自己複製能力、両方を持つ細胞

 

 

最も分化能力が高いものが、 乳歯 です。

 乳歯というものは凄いエネルギーを持っています。

 

例えば、もし、おじいちゃんが歯がなくなってしまったという時など・・・。

お孫さんの神経をちょっともらって、抜歯した時にその神経の細胞を冷凍保存しておきます。

将来的に、家族の誰かの歯がなくなってしまった時に、その細胞から歯を作ってあげて

中に入れてあげると、もしかしたら歯ができるかもしれない。

・・・と、いうようなプロジェクトが、既にアチコチの大学病院や大きな病院などで行われています。

 

 

よく噛まないと、どうなっちゃうの?

今回は、歯と顎のことについてです。

「噛む」ということは歯と顎の骨が丈夫でないと、なかなか噛むということはできません。

もちろん、歯がないと、なかなか噛むことはできませんし、土手で噛めないことはないのですが

シッカリ ものを食べようと思うと、歯と顎の骨が丈夫であることが必要となってきます。

 

よく噛むことによって、歯と顎の結合力が強くなることも科学的に分かってきました。

 

これは、一体どういうことなのでしょうか。

 

細胞が活動していくため・・人間が生きていくためには、タンパク質や糖質、脂肪、

それからビタミン、ミネラル、ホルモン等といったものが必要です。

 

しかし、人間が生きていくためには、「ただ食べて栄養を取る」だけでは十分ではありません。

細胞に加えられる機械的・物理的な力が必要です。

 

これは、噛んだ時に ギュッ と、ものを噛むということです。^^

 

奥歯がシッカリあると、奥歯の噛む力というのは、1cm²当たり 体重の2~3倍の力で

噛んでいます。したがって、60kgの人がギュッと噛むと力の強い人ですと180kgの力で

ものを噛んでいることになります。

そのような強い力で食べ物が粉々に砕かれて胃の中に入っていくということです。

 

歯の周りの所・・骨との間に、チョコチョコチョコと線維が入っています。

これは歯根膜(上図参照)と呼ばれるものです。

この歯根膜に刺激が伝わって、これから顎の骨に力が伝わっていきます。

顎の骨に力が伝わると、それが頭の方に伝わって、

骨の中にある細胞を引っ張ったり押したりして人間の体を作り変えていきます。

簡単に言えば、噛むことによって骨が作り変えられていきます。

 

この「作り変えられていく」ということは、

「骨が強くなる」ということです。

 

もし噛めなくなってしまったら・・・例えば、虫歯とか事故などで歯がなくなってしまった場合。

噛むことができないので、急激に骨がなくなって痩せてしまうということになります。

 

そんな訳で・・・

先ほど人間が生きるために必要な栄養素がいっぱい出てきましたが

そういうものが、もし いっぱいあったとしても、噛むことができなければ

上手く消化もできませんし、体もストレスを感じるでしょうし、痩せていくということになるのです。

 

いかに食べることが大事なのか・・・・

歯が大事なのか・・・・・お分かり戴けたでしょうか?^^

 

 

実際に、どういうことが噛んだ時に起きているのか?という実験です。

これは、神奈川歯科大学の教授が行った実験です。

 

ウサギの歯にバネを装着して矯正みたいな感じに、歯にギュ~~~ッッと常に強い力が

加えられるようにしました。

すると、骨を作る細胞(骨芽細胞)がいっぱいできるのに必要なコハク酸という栄養素が

増えていることが明らかになったそうです。

 

それとは逆に、噛めなくなってしまったら どうなってしまうのでしょうか?

こちらはネズミを使って実験したものです。

 

ネズミの歯の噛み合せを上手くいかないように臼歯を全部削ってしまいました。

すると、歯と顎をつなぎ合わせている歯根膜を細胞を作る能力が最初の12時間で

3分の1ほどに低下して、3日間で

歯根膜を新しくしよう新しくしよう・・という働きがなくなってしまいました。

 

以上の2つの実験から、

歯に物理的な力を加えると、顎の骨の表面で骨を作っている細胞が

栄養を積極的に取り込もうとして、骨を作る作用が活発になることが分かります。

歯に加えられる力がなくなると、

顎の骨と歯をつなぐ役割を果たしている歯根膜の細胞の合成がされにくくなります。

要するに、強く噛めば噛むほど 歯と顎の骨がより強く結びついて・・・

逆に、力が加えられなくなれば、結合度が弱くなって、

歯がグラグラしてくる・・ということになります。

 

 

そして、人間の実験もあります。

抜いてしまった歯の表面から歯根膜を取ってきて、その歯根膜を培養しました。

すると、その細胞は10日間で細胞から伸びる本来、歯と骨を結びつけている線維を

伸ばして、シャーレいっぱいにまで伸ばしたそうです。

 

 

骨をその気にさせることが先決です!!

ご飯を食べて 強い力を与えるためには、

骨がカルシウムを受け入れる体制を作ってあげないといけません。

土台を作ってあげないといけないということです。

 

そのためには、よく運動し、新陳代謝を活発化させてあげることが必要です。

なかなか難しいことですが、適度な運動が必要です。

 

骨自体も人間の体というのは、3ヶ月くらいで半分くらい新しいものになってしまうそうです。

半年経つと、完全に新しくなってしまいます。

骨は、それだけ強いエネルギーを必要としている訳です。^^ 

 

 

NY大学卒業・・そして上から見た富士山

  先日、3月26日 

当院の木下歯科医師による

デンタルサークルが開催されました。

今回は、木下歯科医師の

ニューヨーク大学卒業の報告と

「よく噛むということはどういうことか」

というお話でした。

 

 

 

今日は、今年2月にニューヨーク大学を卒業した時の、木下歯科医師によるお話です。 

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 

大学は、ニューヨーク マンハッタン

1Ave.24St という場所にあります。

 

ホテルから大学まで歩いて5分。

朝 起きて、学食でご飯を食べて

そのまま講義へ行くことが

できるくらい立地条件の

良い所でした。

 

今回は、そこに 2月8日から

1週間滞在しました。

 

日本だったら

¥5000~6000くらいで

宿泊できるような

ホテルでしたが、

今回は1泊$130

(だいたい¥13000くらい)

でした。

 

夏は$400近くかかったので、

冬と夏では、ずいぶんと差が

あることになります。 

 

ベッドはクウィーンサイズで 縦でも横でも寝ることができて、時差ボケを除けば、とても快適でした!

 

大学でのプログラムは、月曜から金曜まで ガッチリ 詰まっていました。 

木曜日には、自分でインプラントを埋めた時の症例を皆で発表して、

それに対して意見を言い合ったりしようという企画が行われました。

 これは、卒業の際に1番最後に皆が行うプログラムで、院長もやっているはずです。^^

  

元々20名いたのですが、今回は忙しかったようで来ることができず、次のクラスに移ったようで

全部で14名の発表となりました。なかなか 面白かったです。^^

 

 

 

私が発表した症例は、

2005年に自分が初めて

行ったインプラント手術の

時のものと、2008年夏に

名古屋で行った

インプラント手術の時のものです。

 

 

 上の写真は、2005年当時の(私が初めてインプラント手術を行った)当院の

歯科技工士のコヤマさんの口の中です。^^

 左下1番奥がバラバラに割れてしまったのでインプラントを入れることにしました。 

現在も、具合が良いようです。^^

 

2008年夏に行ったインプラント手術の症例ですが、

左上4番の糸切り歯の隣が 根が割れていました。

抜いた後にブリッジにしようか、インプラントにしようか相談しました。

ブリッジにすると後々面倒なのと、わざわざ健康な歯を削るのは勿体無いという患者さんのお話で

インプラントにすることに決定しました。

インプラントを埋めて2ヵ月後には、ボコボコとしたネジ構造に骨が入っているのが

写真で確認できました。

手術後、患者さんはとても満足していらっしゃって、現在は下が入れ歯なのですが、

ひょっとしたら そのうちに下の部分もインプラントにするかもしれません。

 

そのような症例の発表が終わって、卒業証書授与です。^^  

 

ようやく2年間に渡るNY大学が終わって、英語も なんとなく聞き取れるようになりました。

話すことは あまりできませんでしたが、なんとかなりました。^^

1週間いるだけで、だいぶ楽になりますね。

 

今回は、成田から名古屋まで飛行機で帰ってきました。

写真は、成田からセントレアへ向かう途中 撮った富士山の写真です。

なかなか下から見上げるばかりで、このような写真はなく 珍しいので撮ってきました!!^^

 

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 以上で、NY大学卒業のお話は終わりです。

次回も、第33回デンタルサークルで、この後お話した「よく噛むこととは?」について

お話していこうと思います。