デンタルサークル『脳の秘めたる底力』6/知能と『3年』

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「重度重複」というのは、知的能力が低いことに加え、他に心臓疾患など他の病気があることを示しています。心臓疾患が多いですね。いつ心不全を起こしてもおかしくありませんよ・・というお子さんです。

そういう診断をされていると、歩くことができないお子さんが多いです。

こちらは、2009年3月の測定です。
21歳から1番下のお子さんで11歳。
90~110が正常とされている一般の知能です。普通は100以上あってほしいです。

このお子さんたちは、19~21歳は100を越しています。
正常になっています。

下のお子さんたちは、80・82・65・・と、まだまだ正常値に達していませんが、正直言って、始めて3年間は知能は変わりありません。と、いうのは土台を作っているんですね。
脳の細胞がつながっていないんです。ですから治療開始後3年間は『測定不能』のままです。
脳の細胞がつながるには、どうしても3年かかるのです。

昔から『石の上にも3年』と言われます。
私は、この3年というものを痛感させられました。
何でも3年かかります。小脳の記憶も3年です。どんなことでも『3年』だと私は思っています。

先ほどお話した「みっちゃん」というお子さんは、何か1つやるにも、すべて3年かけていました。
例えば、シャツを着るという動作にも3年かけていました。
お箸も3年かけて教えていました。
「お箸を動かせるまで」ではなく、「持つ」という動作だけで3年かけています。

脳に同じ刺激を伝えたいからなのです。

そうすると、脳の方では どんどんどんどん神経を伸ばしてくれるのです。神経細胞を作っているのです。ですから、その間は、ほとんど変化はありません。

中では変化しているのですが、外に出てくるということでは、ほとんど変化は見られません。
そういう訳で、そういうお子さんを見ても「知能」というのは普通どおりなんだなと思います。

次回は『大脳と小脳』です。

デンタルサークル『脳の秘めたる底力』5/知能と子育て

今回は、知能のお話です。

昔から環境によって左右されるといわれています。

昔は『IQ』、今は『偏差値』と呼ばれていますが、

今は偏差値教育などと言われているので、できるだけ使わないようにしています。

Kさん・・・この方は3歳の頃・・・

ちょうど可愛い盛りで、チョコチョコ両親の手を離して走り回る。

そんな時に交通事故に遭ってしまいました。

この子と私が出会ったのは、このが子6歳の時。女の子でした。

久里浜にその専門機関があるのですが、その専門の方が関わっていました。

専門の方なので「何かものすごいことをやるのかな?」と思っていました。

 

そしたら、なんと・・・やることは、その子の名前を呼んでいるだけなんです。



毎日、決まった時刻に、その子の名前を呼ぶ。それだけです。

この子は、お父さん・お母さん、あるいは周りの家族から

1番声をかけれていたのは名前だろうな・・・ということでした。

やはり、何かつながるものがないといけないんですね。

ゼロからでは何も生まれないんです。

 



この子は、他の同年齢の方々と、最終的には5年ほど遅れました。

5年ほど遅れて大学へ行き、大学院へ・・・。今、研究機関で働いています。

私が出会った時 6歳で、次に出会った時には12歳でした。

「あの子、生きているかなぁ。」と思ったものでした。

ご両親が人工維持装置を外してしまえば、死を迎える子でした。

ご両親が「外してください。もうけっこうです。」と言わなかったこと。

そして、施設でもちゃんとみていったこと。こちらの施設はキリスト関係の施設だったんですね。

 

12歳の時には、歩いていました。

「植物状態」から「動物状態」に戻っていました。ただし・・・・知能は測定不能でした。

 

五感の内、どこの部分が育っていたのかというと、耳の系統でした。

毎日 話しかけれていましたから。

 

耳の系統の神経は、ものすごく発達していたということです。

ですから、その後の記憶力は他の方々よりも遥かに高いということです。

私たちは五体満足ですから、1番働くのは目の系統です。

ところが、オギャーと生まれた時に、1番働いている五感は、耳と皮膚なんですね。

視力は0.05あるかないかで、お母さんの顔はボヤーとしてはいます。

お母さんの顔をジーと見ますね。見えていないのにジーと見ます。

 

これは、実は耳と皮膚でお母さんを感じ取っているのです。

 

すごいですよね!

 

視力がだんだん出るにしたがって、耳は使わなくなります。

記憶力もそれに比例して、だんだん下がっていきます。

ここにも子育ての大きなヒントがあるということです。emoji102.gif

 

わが子をダッコして、絵本の読み聞かせをするというのは、

素晴らしいことなんです。emoji321.gif

 

私たちがそういう読み聞かせの場面に立ち会うと、後ろ斜めの方向から見ます。

前に鏡を置きます。

お子さんをダッコして、絵本をお母さんが持って読んであげるというときに、

私たちは、お母さんとお子さんの目が一直線になっているかどうか確認しているんです。



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これが1番(声・記憶の)入りが良い状態です。



お母さんは耳のすぐ後ろでしゃべっていますから入りが良い訳です。

次回は、『なんでも3年かかる』というお話です。

 


デンタルサークル『脳の秘めたる底力 』4/右脳を4分の3失った青年

東北大学の脳の先生が取材をした、右脳を 4分の3 失った青年のお話です。

 

こちらは、2008年・2009年にテレビ報道されました。

 

2005年、大学に受かったから・・ということで、

両親がパソコンをプレゼントしてくれることになりました。

 

そして、自転車でパソコンを買いに出かけました。

途中、車にぶつかってしまうという交通事故に遭ってしまいました。

 

頭蓋骨がなくなってしまいました。 

そのため、脳も飛び出してしまい、

植物状態になってしまいました。 

ご両親は、それでも何とかしてほしい・・ということで

6回 手術を行いました。

 

 

6回の手術の途中、両親が話しかけても それが両親だと分からないんです。

そこまで脳がおかしくなっていたんですね。

 

6回めの手術の時に、頭蓋骨をチタンで覆いました。

そのことによって、頭蓋骨が安定していって、記憶が戻ってきました。

 

脳というのは グニャグニャしているので、チタンで覆った・・ということです。

  

お父さんが会社を辞め、両親揃って この子を一から・・赤ちゃんの状態から

育てなおすということを始めました。

これは凄いことだなと思いました。

 

そういう取り組みをしたものですから、代償機能が発揮されていき、

2008年9月には、大学に復学するまでになりました。

 

※ 代償機能とは?

   死んだ組織に代わり、生き残った細胞が

   新たにネットワークを作って働きを補うこと

 

  

ここまでのお話は、「脳に致命傷を受けても、元に戻る力を 脳は持っている」という

お話でした。

ただ、これには、良い方に出会うことが大事ですね。

 

 次回は、『知能』のお話です。

このお話以降は、年明けになります。お楽しみに。