デンタルサークル『脳の秘めたる底力 』3/左手だけのピアニスト

左手だけのピアニスト。

これは、2005年・2009年に テレビでも

報道されました。 

国際的な男性ピアニストの 舘野泉さん のお話です。

 

 

1936年生まれですので、現在73歳くらいでしょうか。

この方は、フィンランドの国費で生活をされています。

世界中で演奏会をしていて、たまに日本を訪れて、私は、2007年の演奏会の時に

左手だけでピアノを弾いている この方に出会いました。

 

 

今年、この麻痺していた右手が鍵盤上で動くようになりました。 

2001年に演奏会で倒れ、脳出血で右半身不随になり、

お医者さんには、ピアニストとして活躍するのは 

もう難しいでしょうと言われました。 

 

「やれば、できる。」

 

この 「やれば・・・・」 というヒント。 

 

長男の方が、フィンランドにいるお父さんの所へ

お見舞いに行ったんです。

(※ 長男の方は日本人です。) 

「どうよ・・・」という感じで、フィンランドまで

お見舞いへ行ったのですが、

生活の方は何とか安定してきたけども、

ピアノが左手でしかできないので 苛立っているのが分かったそうです。

 

長男の方は 3日ほど フィンランドに滞在したのですが、

帰った後に、このお父さんのピアノの上に、

左手だけで弾く楽譜が置いてあったそうです。 

だけど、最初は

「ピアノは両手で弾くものだ!」と、馬鹿にしたそうです。

 

1週間ほど 触らなかったそうです。

 

でもね・・・自分の子どもが置いていった・・・・その想いを感じて、

自分で恐る恐る楽譜を開いて、ピアノを弾いてみたのだそうです。

 

そしたら、左手だけでもピアノが楽しめる・・・ということが分かったといいます。

 

それから、ピアノを一生懸命 弾くようになった。

 

それが、脳に刺激を送ってくれた・・・ということでしょうね。

 

私の家内の母親も 3年ほど前に 脳梗塞で倒れ、半身不随になりました。

ただ・・・母にはピアノがありました。

ですから、ピアノを通してリハビリをしました。

少しばかり、痴呆症が出ましたが、これは仕方がないことだと思いました。

麻痺がなくなり、「自分で動けない」ということからは脱しました。

 

やれば、やっただけのことはある。

 

・・・・・今日は、そんなお話でした。

 

次回は、『右脳を4分の3失った青年』というお話です。 

 

デンタルサークル『脳の秘めたる底力 』2/前頭葉

前頭葉 とは、オデコの張りのある部分にあります。

意欲やコミュニケーションなど、主に、『人間らしさ』を司るところで、

「人間らしさの脳」と呼ばれています。

 

 

小さいお子さんが育っていく時に 

急に オデコが張り出してくる時期があります。

昨今、いろいろと事件が起きていますが、

この前頭葉の働きが悪いと思ってください。 

悪いから人を殺したり、悪いことをするのです。

 

 

私が1988年に出会ったAさんは、生まれつき 脳の障害を持っていました。

そして、2歳半の時に前頭葉の半分を失いましたが、早期発見をして、

早期に行動療法・音楽療法の治療をしてきましたので、日常生活での自立を果たすことができ

現在は、普通どおりの生活をしています。

 

 

1993年に出会ったⅠさんは、Aさんのように早期発見・早期治療ということができませんでした。

生まれて間もない 生後3週間目に、突然 高熱を出しました。

 

お医者さんからは 「風邪です。」 と言われました。

 

39度台の高熱が続き、薬をもらうために 毎週 病院へ通っていましたが

1ヶ月経ってもダメだったそうです。

そして、お医者さんを変えました。

 

そしたら、病名が分かりました。

 

脳の病気 だったんです。

 

結局、ずっと放っておいたということに

なってしまったんですね。

その間に、脳の病気が進んでしまった・・・・。

 

 

2ヵ月後には体と知能に障害が出て、「知能に障害が残ります。」と言われてしまいました。

 

3歳の時には激しい ひきつけを起こし、手術をすることになり、

前頭葉を半分失うことになってしまいました。

 

ですから、この時には 人間らしさがなくなってしまった ・・・ということなんですね。

 

このお母さん、この子のために 一生懸命やりました。

しかし、長い間、 『出会い』 がなかったんです。

 

月日は流れて・・・・・・Ⅰさんが19歳の時に、 『出会い』 が起こりました。

 

大阪芸術大学の ノダ先生です。

この大学は、音楽の専門の学校で、音楽運動療法というものを行いました。

 

 

この音楽運動療法、どんなことをするのかというと、

音楽をかけて、その音楽に合わせて トランポリンを飛ぶんです。

そうやって、脳に刺激を送るんですね。

 

 

 

ただ・・ここが、他と異なるのは、 生演奏 なんですね。

 

ノダ先生と、そのお子さんが 一緒にトランポリンを飛んでいるのを見ながら、

それに合わせての生演奏なんです。

 

さすが、音楽の大学だな・・と思いますね。

 

残念なことに19歳までは歩けなかった・・・・それまで歩けなかった子が

治療を開始して 1年後に 歩けるようになりました。

 

すごいですよね。

 

そして、この刺激を続けていたら、特別なことが起こりました。

 

絵を描かせてみたら、これが上手いんです。

昨年は、個展を開いたそうです。

 

書の方も、最初は、自分の名前を書くところから始め、

なかなか味のある素晴らしい字を書いています。

 

ですから、こういう治療で素晴らしい方に出会うと、年齢が遅くても大丈夫なんだな・・・と

私は、このⅠさんから学びました。

 

普通、年齢が進むと、なかなか難しいのですけどね。

 

 

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次回は、『左手だけのピアニスト』です。

 

 

 

 

デンタルサークル『脳の秘めたる底力 』1

先日、12月9日に、医学博士であります佐藤芳伸さんに『脳の秘めたる底力』と題し、

脳の働きや可能性、植物状態からの復活などのお話をしていただきました。

 

第40回 デンタルサークル 開催に際し、

「参加したいのだけど、平日で参加できない。」

「ホームページ上で紹介してもらえないだろうか?」

という お言葉を たくさん頂戴いたしましたので、

こちらで 少しずつではありますが、紹介させていただこうと思った次第です。

 

今日は、その1回目。 『脳は使えば使うほど良くなる』 というお話です。

 

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院長先生には、もう昭和60年から

私の歯を診ていただいています。

 

8月に 「自分の脳をより良く育ててみませんか?」という

お話をして、9月には「脳の栄養に目を向けてください。」

というお話をしました。

 

今回どうしようにしましょうか?と

先生とお話していましたら、私のことを 

もう少し聞かせてほしい・・とのことで、

先生とは ポツリポツリ 話をしてきたことなのですが、

それらのことをお話したいと思います。 

私自身が、実は 交通事故に遭って、記憶喪失になったことがあります。

そういった体験を持っているものですから、

脳というのは、物凄い 底力のあるところだと私自身も感じました。

 

又、私は元々、障害児の子を一人前に育てるという仕事を

大学や病院でしてきているものですから

そちらの方(障害児・障害者)に、障害を抱えている方というふうに目を向けていたのですが・・・

最近では、障害のないお子さんとか大人が いろいろな事件を起こしています。

 

あれは、脳のせいです。

 

実際に、そういう方の了承を得て、脳の写真などを撮ってきました。

今、(障害について・脳について)見直さなくちゃいけないかなと思っています。

 

 

「脳の秘めたる底力」というのは、今まで 取り組んできた子どもたちが

想像を超えた物凄い進化をしているというお話です。

 

 

1番良い例が、重度重複障害のMさんです。

 

このお子さんは、私がこの世界に入ったときから ずっと、

このお母さんと二人三脚を組んでやってきています。

 

 

出会った頃には、目は天を向き、地にはヨダレを垂らしている姿でした。 

 

 

10年計画を立てまして、7年目に自動車運転免許を取りました。

そして、この近所でずっと見てきた方が「結婚してほしい・・」ということで、

3年計画で取り組んで、昨年12月に結婚しました。

現在 お給料が 37万~39万円くらいです。

 

この子は、私にとって最初のお子さんであり、1つの見本になっています。

 

 

やはり、なんでも 五感が私たちの入口ですので、

これを どれだけ大事にするかによって変わってきます。

 

1988年以前には『脳の常識』というものがあったのですが、

これが矛盾しているという出来事が沢山出てきたのです。

 

しかしながら その説明ができなかった訳です。

 

この『脳の常識』が1998年 ヨーロッパで くつがえされました。

 

脳は使えば使うほど良くなります。

 

私たちは、普通 「脳」と考えていくと、大脳ばかりに目を向けているのですが

実は、小脳のいうのは 私の体験をとおしてみても 恐るべき力を持っているのです。

 

まず、大脳をやられてしまった方たちが

ものすごい良い方向へ変わっていっています。

 

この大脳の中、ギッシリ 詰まっているように見えますが

表面だけです。ずっと覆いかぶさっているという感じで

薄いものです。

 

男性で、だいたい 1300~1400g。

女性で、1200~1300g 重さがあります。

 

薄いものですから、何も土台がないと クチャ~ン となってしまいます。

私たちの胃や腸も、普段は 膨らんでいるのではなくて、食べ物が入ると膨らみます。

 

同じように、脳も 支えがないと、みんな ペチャンとなってしまいます。

ですから、頭蓋骨がないと、飛び出してしまいます。

脳は 頭蓋骨で固定されている訳です。

 

頭を触っていくと、てっぺんに ちょっと軟らかい所があります。

頭蓋骨が重なる部分で、少し開いている所です。

 

私がこの道に入る前のお話です。

 

隣の神奈川県に 弘済学園 (財団法人 鉄道弘済会 総合福祉センター 弘済学園) という

所があります。

 

皆さんが よく ご存知の 『キヨスク』。

 

あそこは、元々 福祉施設を運営維持するために稼いでいる場所です。

 

昔、「国鉄の職員の障害を抱えて生まれたお子さんをなんとかしよう」と、滋賀の方で

始めたものです。

 

今思うと、ここで 『脳に刺激を送る取り組み』 をしていたな・・と思うんです。

 

脳に刺激を送る1つの方法だと思われました。

 

次回の デンタルサークル『脳の秘めたる底力 2』 は、

前頭葉や右脳を失った子どもたち のお話です。

 

 

 

五感の中の、触覚器を育てるようにしました。