がん治療に伴う口腔粘膜炎

抗がん剤治療や放射線治療を行うと、
がん細胞を死滅させると同時に正常な細胞にも影響し、
様々な副作用が出ることが分かっています。
その副作用の中でも、口にできる『口腔粘膜炎』は、
痛みのため口から水分や栄養を取ることが難しくなり、
体力を落とす原因にもなる副作用の1つです。

【 口腔粘膜炎とは? 】

抗がん剤や放射線が、舌・歯茎・唇・頬の内側などの口の粘膜の細胞に直接影響して起こる炎症状態
※一般的な口の粘膜の炎症のことは『口内炎』といいます。

【 口腔粘膜炎の主な症状 】

痛い・血が出る・しみる・腫れる・飲みこみにくい・味が分かりにくい

ひどくなると・・・・
痛みが強く、食事をすること・飲み物を飲むことができなくなります。
口腔粘膜炎の部分から細菌が入り込み、感染症を起こすことがあります。

 

 【 口腔粘膜炎が起こる可能性が高い治療 】

■造血幹細胞移植治療
  白血病やリンパ腫など、血液の癌の治療です。
  約80%の患者さんに起こるといわれています。

■頭頚部がん・食道がんの抗がん剤治療と放射線治療
  口の周囲に放射線治療は、ほぼ全員にこの症状が出ます。
  抗がん剤治療と放射線治療を同時に行うと、強い症状が現れます。

■大量抗がん剤治療
  整形外科や泌尿器科の癌に対して行われる大量の抗がん剤を使う治療で、
  症状が出ます。

※ この他に、胃がんや大腸がん、又は乳がんの治療で使われる飲み薬の抗がん剤で
   口腔粘膜炎が出ることがあります。

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口腔粘膜炎の症状は、患者さんによって様々。
抗がん剤の種類や量・投与の方法・放射線の照射量や当たる場所によって異なります。

●抗がん剤治療の場合

  3~5日目
  口の粘膜が腫れぼったくなり、表面がツルツル光った感じになります。

  7~12日目
  粘膜の表面が赤くなり、その粘膜の一部が剥がれ、潰瘍を作ります。

  3~4週間目
  粘膜は再生して元の状態に戻りますが、治療が繰り返し行われる場合には
  口腔粘膜炎ができることになります。

●放射線治療の場合

  10~14日
  粘膜が熱を持ったように感じ、赤みが強くなり、
  一部の粘膜が剥がれて潰瘍を作ります。

  6~8週間
  口腔粘膜炎の症状が最も強くなった症状が続きます。

  12~15週間
  粘膜が再生していきます。
  元の状態に戻るまで約1~2ヶ月かかります。

※ 放射線治療の場合、毎日少しずつの量の放射線を6~7週間かけて照射するため
  2~3ヶ月間、口腔粘膜炎が持続することになります。