~ 2012年10月17日 第67回デンタルサークル「18弁オルゴールの秘めたる底力」より~
PTSDとは、心的外傷後ストレス障害のことです。下記の3つの基本的症状があり、これらの病状が死や重傷を負う等の出来事の後に1か月以上続き、社会的・精神的に機能障害を起こしている場合に診断されるものです。
【基本的症状】
- 再体験(想起)
原因となったトラウマ体験が無意識にハッキリ思い出される。フラッシュバック現象。 - 回避
トラウマの原因になった状況・場面を意識的・無意識にハッキリと避け続けたり、感情・感覚が麻痺する。 - 過覚醒
交感神経が異常に高ぶる。精神的不安定になる。不眠・イライラ。
【特徴】
- 体験や目撃をしたことにより強い恐怖感や無力感に襲われる。
- その体験を思い起こすことができない。
- 感情の委縮。
- 希望や物事への興味や関心がなくなる。
- 視覚・聴覚・発音・運動などの機能に障害が出る。
- 関係する人や特徴を避ける。
- 悪夢・フラッシュバック
- 睡眠障害・怒りの爆発・混乱・集中困難・過度の警戒。
- 記憶障害・忘却など。
東日本大震災の後、医学博士である佐藤芳伸先生は、すぐに被災地へ支援に入りました。
佐藤先生の支援活動は、1度、2度では終わらず、現在も続けられています。
(参考:https://www.klt-implant.net/archives/2353)
佐藤先生は現在は医学博士としてお暮しになっておりますが、昔、最初にお勤めされたのがオルゴールの会社だったそうです。支援活動の1つとして、オルゴールを避難所でお暮しになっていた被災者の方々にお渡ししているとお話がありました。避難所を出られて、お引越しされた方もいらっしゃるので、現在もまだその方々をお探しになっているそうです。
避難所では大きな音を立てられないということもあり、頭(側頭部:耳の近く)にオルゴールをつけて聴いたらどうだろうかという話が出ました。音には2つ聴く方法があって、1つは耳から聞いて聴覚を刺激する方法。もう1つは、骨や皮膚から体に入り、脳幹や視床下部を作用する骨伝導という方法があります。
そんな中、漁業の町でしたので、避難所から出ると、みなさんが魚を入れる箱を利用して、台を作成し、反響させて、頭を近づけてオルゴールを聴いていたそうです。
実は、医療現場でも、写真(上)のような形をした箱を3段に重ねて利用しています。みなさんは、このようなことを知らずに、ご自分たちで考えてお作りになったそうです。
用意していったオルゴールは、18弁のオルゴールでした。玩具にも感じるオルゴールではありましたが、「毎日、寝る前や日中お好きな時間にでも聴いてみてくださいね。」と話したところ、オルゴールを使った方々は、使わない方々に比べ、早くPTSDの症状が回復していったそうです。
この時に大切なことが、落ち着いた曲であること・想い入れのある曲であること・別れの曲ではないこと・繰り返し聴くこと・・・とお話がありました。
高級なオルゴールは、常に(最後まで)同じスピードで曲が流れるそうですが、本当は、少しずつ少しずつゆっくりになって終わる・・というものが医療現場では求められ、必要とされています。理由については、後ほど「f分の1のゆらぎ」にて・・・。
【オルゴールの音は、なぜ体に良い影響を及ぼすのでしょうか】
オルゴールは、櫛歯という構造で金属の弁を弾くことで音が出る、金属音を出す楽器です。
低周波(~20Hz)・中周波(20~20,000Hz)、ここまでがヒトが聞き取ることができる音の周波数です。
この響きやリズムは、空気を伝わって耳に届き、大脳聴覚野に伝わります。リラックス、やる気ホルモン、快適ホルモンの増加があります。
又、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスを保ち、副交感神経の働きを高めることにより、ホルモンの分泌に影響します。心拍・脈拍・血圧・脳波のリズムが安定していき、不眠の改善・痛みの軽減につながっていきます。
オルゴールは、これ以上の高周波(20,000Hz~)をも出します。高周波はヒトの耳には聞こえてはきませんが、脳に直接作用し、脳幹(生命の中枢指令)や視床下部を刺激し、全身の神経系統をも刺激します。それによって、血流が増加し、免疫力や気持ちを鎮める・自然治癒力を引き出します。超音波・・と言えば、理解しやすいでしょうか。
※しかし、残念ながらオルゴール音であっても、CDに録音されたものは、安価にするために10,000Hzまでに周波数を下げられてしまっていますので、オルゴールと同じ効果を得ることはできません。
【「f分の1のゆらぎ」をご存知でしょうか?】
「f分の1のゆらぎ」というものをご存知でしょうか?
オルゴールのように、連続的でテンポが一定でないものに「f分の1のゆらぎ」があると言われています。
※一定期間内の同じ振動状態の繰り返しのことを『周波数f』で表します。
このことから「f分の1のゆらぎ」と名づけられたそうです。
オルゴールの他には、鳥のさえずり、海の潮の音、心地良いそよ風、川のせせらぎ、オーケストラ、弦楽四重奏、深い森の中などに存在すると言われています。これらは、 崩れた生体リズムを戻し、交感神経を鎮め、副交感神経を優位にしていく力があると言われています。これによって、情緒を安定させ、ストレスを軽減させ、不眠症を改善させます。
又、下降旋律の音楽が気持ちを鎮め、自然治癒力を引き出していきます。
波形で言えばα(アルファ)波です。
「頭を使わないで休ませた状態」のことです。
α波の正体=f分の1のゆらぎ・・・・・・・ということです。
自然を大切にすることは、自分を大切にすることにつながっていく・・ということが分かりますね。