Q. 神経を抜いた奥から2番目の歯に穴があります。そこに膿(うみ)がたまり、歯科医院で歯の穴に針状の器具を刺して膿の掃除をしてもらいました。すると、腫れと強い痛みが出て、力仕事をした翌日には、口の内側が大きく腫れ、物を飲み込むときにも痛みを伴うようになりました。歯の膿を出した処置後に、腫れや痛みが出ることはあるのでしょうか。さらに、親知らずが横向きに生えて痛みがある場合、抜いた方がよいでしょうか。
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適確な処置をしても痛みが出ることはあります。
奥歯の穴とは、虫歯が進行してできた穴のことでしょうか?
針状の器具で、歯の根の中(根管=こんかん)の膿をかき出したと思われますが、状況によっては、かえって膿を歯の奥の方へと押し込んでしまう可能性はあります。
歯の根の中は細かい枝のように分かれています。膿を出すためには、超音波(専用機器)や薬液を使って浮き出すように洗浄します。そこはとても狭く、奥へ押し込んでしまう危険性が高く、膿が根の先に押し込まれたまま外に出られずに内圧がかかると、かなり痛むこともあります。
ご相談の「腫れと痛み」は、化膿によって細菌が作り出す毒素とそこから発生したガスによるものと考えられます。腫れと痛みを止めるには、膿を出すだけではなく、感染した歯の根の内側の壁を全て除去することが必要です。
また、化膿により、歯を支える骨(歯槽骨=しそうこつ)を溶かしてトンネルを作り、歯肉まで届いている場合には強烈な痛みと腫れが出てきます。そのような場合は、歯茎にメスを入れて膿を直接出す方法で処置をします。 それに加え、抗生物質(抗菌薬)や化膿を止める薬が効いてくると、細菌が死滅するので、そこでやっと痛みと腫れが引いて落ち着くでしょう。歯の根を残して、通常のように食べられるようになるまでは、患者も歯科医も真剣に頑張る必要があります。 痛みのある横向きの親知らず 親知らずは、歯を失ったなどで入れ歯を固定する金具(クラスプ)を引っかけるために残す必要があれば抜きません。
横向きに生えた親知らずは、あっても役に立たない、または、痛みがある場合には、抜歯してもよいことが多いでしょう。
院長 川口和子