食べ物や唾液を飲み込む時、
通常であれば反射的に気道の弁が閉じて食道に送り込まれるのですが
老化や障害などにより飲み込む能力が低下してくると
誤って気道、そして肺に入ってしまい易くなります。
これを 「誤嚥」 といいます。
これは食事中だけでなく、就寝時 唾液を飲み込む際に
気管内に侵入してしまうことがあります。
この症状は、65歳以上の約半数と言われており、
咳反射の低下などで気付かないことも多いようです。
更に、食後すぐに寝てしまうことなどで起きる 食道からの逆流が
原因になることもあります。
こちらに関しては、食後2時間ほど仰向け姿勢で
床から角度30~90度でいることで防ぐことができます。
口腔内のケアをしていない場合の
細菌側から見た口腔内の環境を考えてみましょう。
だいたい常時36~37度という 温度
唾液による 湿度
食べカスという名の 栄養
この3つの事柄は、細菌が繁殖するにはもってこい!の好条件となります。
このように お口の中で細菌が繁殖した状態で誤嚥した時
この細菌が肺に入り、肺炎になってしまうことがあります。
これを 「誤嚥性肺炎」 といいます。
日本の85歳以上の死亡原因の1位は、肺炎であり
その約半数以上が誤嚥性肺炎と言われています。
この誤嚥性肺炎は、高齢になるにしたがって増加傾向にあります。
しかし、誤嚥が全て肺炎につながるという訳ではなく、
以下のことで防ぐことも可能です。
・ 歯磨きなどで口腔内を清潔にしたり、義歯を綺麗にして、常に細菌数を少なくしておく
(歯周病の治療と予防)
・ 口からの栄養や水分の摂取、生きようとする意欲や楽しみを持つこと、
体力を維持することで 免疫力をつける
・ 飲み込む練習(嚥下のリハビリ)を行い、機能回復を図り、口から食べることができるようにする
これらのことは、歯科医院だけでなく
耳鼻科医院や介護関係者も協力して行います。