近年、日本でもようやく禁煙が叫ばれるようになりました。
タバコは、元々インディアンが葉の部分を儀式に使っていたものでした。 それを、大陸を発見したコロンブスがお土産として貰い、広まっていったと言われています。
東南アジアでは、現在でも 噛みタバコや嗅ぎタバコをしている人がいるようですが 咽頭癌や舌癌、口唇癌などの口腔癌が非常に多いことが知られています。
まず・・・喫煙から起こる病気についてお話したいと思います。
妊娠中の喫煙の危険性ですが・・・
コチラに関しては、お聞きになったことがあるのでは?と思います。
赤ちゃんの「口唇裂」「口蓋裂」に関しては、 両親が2人揃って喫煙していた場合の危険度は 非喫煙者の8倍にもなってしまいます。
乳幼児突然死症候群に関しては、 非喫煙者に比べて5倍の危険度と言われています。
他にも低体重児早産の危険性もよく知られているところでしょう。
「喫煙が原因とされる歯周病」と関連する怖い病気といえば、細菌性肺炎や糖尿病、 心臓内の弁や心内膜・心筋に細菌感染が起きる細菌性心内膜炎、冠動脈疾患などがあります。
次に、喫煙が口腔内に与える影響を考えてみましょう。
受動喫煙(子ども~大人)であっても、 う蝕や歯周病、歯肉へのメラニン色素沈着といった影響が見られます。
審美的な面での影響は・・・といいますと、 褐色に変色したヤニが唾液中のカルシウムなどと結びつき、歯に沈着したり、 歯だけではなく、歯肉や唇へのメラニン色素沈着が起こります。
粘膜への影響から考えてみますと・・・ ニコチン性口内炎、喫煙者口唇、白板症などは、歯肉癌、口腔底癌、口唇癌、舌癌といった口腔癌になるリスクを 高めてしまう可能性があります。
タバコを吸うと、一酸化炭素の影響で、 ヘモグロビンの酸素供給が衰え歯茎の組織の活性化を止めてしまいます。 又、ニコチンの影響で血管収縮や血流障害を起こします。 歯と骨をつなぐコラーゲンを分解して、歯周ポケットを広げてしまったり、喫煙によって、そのポケットも微小循環障害によって酸素不足状態となり、歯周病菌が繁殖してしまい、 結果、歯周病になってしまい、その歯周病もどんどん悪化してしまいます。
喫煙者の皆さんの言葉でよく耳にする「ストレス解消になる」というお話ですが これは逆であることも考えられています。
上記のことなどが原因となって 高血圧の症状や動悸が激しくなるなどして疲れやすくなり、 体力も低下して、ストレスを作り上げてしまうことにもつながっていくからです。
では、喫煙者が上記のように歯周病になってしまったら、どうしたら良いのでしょうか?
歯周病治療をするために歯科医院を訪れる前に、禁煙をすることを お勧めします。
理由は、タバコを止めることで、歯周病治療の効果が大きく表れるからです。 それが歯周病完治の1番の早道と言えるでしょう。
40~50年ほど前に、米国歯科医師会にて禁煙治療声明が起こり、 後に、世界歯科医師連盟・国際歯科研究会・国際歯科教育学会が協力し、禁煙活動を行うようになりました。 現在では、禁煙外来というものもあります。
「喫煙」とは、「ニコチン依存症」「ニコチン中毒」ということを理解することから 禁煙は始まると思います。 ご自分の身体のためにも・・・・大切なお子さんのためにも・・・・ 頑張ってタバコを卒業しましょう。