当院では、写真上のように
ゼリータイプ・洗口タイプ・泡タイプの
3種類のフッ素を使用しています。
下記に、フッ素についてのお話を質問形式にて
記しておきます。
⑨ フッ化物洗口・フッ化物配合歯磨き剤・フッ化物歯面塗布と併用しても大丈夫ですか?
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カルシウムや鉄、炭素、酸素などと同様に元素です。元素は地球上に約100種類あります。その中でもフッ素は多い方です。野菜や果物・魚介類・肉・お茶・塩・ビールなどにも含まれています。
それらを食べたり飲んだりしている私たちの身体の中にもフッ化物は取り込まれ、身体の構成要素にもなっています。特に、カルシウムと仲が良く、カルシウム成分の多い骨や歯に多く含まれています。
カルシウムもフッ化物も、同じように、摂取量が多すぎても少なすぎても有害な影響が出てきます。
フッ化物応用がいろいろな疾患の原因になるかどうかを研究した報告がある中で、特に、癌との関連の調査をしました。米国厚生省は、多くの調査文献を元に、フッ化物と癌の関連性は認められないと発表しました。
又、米国国立癌研究所をはじめとする専門機関からも、フッ化物と癌の発生は無関係であることが示されています。
ある物質が安全か危険かを判断するときには、その量・その使用方法を考えなくてはいけません。
食塩は人間にとって欠くことのできない栄養素ですが、多く摂りすぎると高血圧など生活習慣病の原因になります。
コレステロールは、多く摂りすぎると動脈硬化が進行してしまいます。又、逆に少なすぎると脳の働きが抑制されます。
ですから、安全を考えるときには、「量や使用方法が適当であるか」から判断することが賢明です。フッ化物も適量・適正な使用方法を守れば、虫歯予防に安全で効果的に利用することができます。
フッ化物が原因の斑状歯は、歯の形成期に長期間 フッ化物を摂取した場合に生じます。
永久歯前歯の石灰化時期は、『生後まもなく』 ~ 『4~5歳』ですが、斑状歯のリスクが高いのは2~3歳までです。フッ化物洗口法は、4歳以上で、吐き出しができる小児から実施するもので、この時期には、既に前歯エナメル質の表面は形成されており、理論的にも実際にも斑状歯になることはありません。
又、1回のフッ化物洗口法で口に残るフッ化物量は、1日平均0.1~0.2mgですから、これだけでは過量になることはありません。
※斑状歯とは・・
歯の形成期に過剰のフッ素を摂取することによって、歯に白い斑点・シミなどの症状が現れるもの。
一度に過量のフッ化物を摂取した場合、最初に出現する症状として
悪心・嘔吐・口渇・発汗など、主に、胃の刺激症状です。
体重20kgの子どもの場合、40mg以上を一度に摂取してしまった場合に、このような急性症状が現れます。
この子どもが、週5回法でフッ化物洗口を行っている場合、この洗口液7ml中のフッ素量は1.6mgですから、一度に約25人分の洗口液を飲み込まない限り急性中毒の心配はありません。
又、体重30kgの小学生が、週1回法でフッ化物洗口法を行っている場合、洗口液10ml中のフッ素量は9mgですから、一度に7人分の洗口液を飲み込まない限り急性中毒の心配はありません。
全く心配ありません。
洗口後に、口の中に残るフッ素量は、1日平均で約0.2mgと、わずかな量です。この量は、紅茶・緑茶・ウーロン茶1~2杯に自然に含まれている量ですから、十分に安全であることが分かります。
フッ化物は、自然に普遍的に分布している物質です。土壌には平均300ppm、海水には1.3ppmのフッ化物が天然に含有されています。実際に、フッ化物洗口を実施している小学校と中学校の総合排水口のフッ化物濃度は最高でも0.2ppm程度です。この濃度の水が海水に流れても、海水のフッ化物濃度を高めることにはなりません。
身体の弱い子どもや障害者が特にフッ化物の影響を受けやすいという事実はありません。
むしろ、虫歯になりやすい場合が多いので、積極的にフッ化物を応用した方が良いと思われます。
フッ化物は、自然界に広く存在している物質です。通常、成人で1日あたり飲食物と共に1~3mgのフッ化物を摂取しています。そして、フッ化物洗口時に口の中に残るフッ化物量は1日平均で約0.2mgとわずかな量です。
⑨ フッ化物洗口・フッ化物配合歯磨き剤・フッ化物歯面塗布と併用しても大丈夫ですか?
心配されるのが、慢性中毒ですが、これらの使用方法はいずれも局所応用であり、フッ化物が過剰に摂取される心配はありません。むしろ、フッ化物配合歯磨き剤とフッ化物歯面塗布と併用することで、さらに効果を増加させることができます。事実、米国などでは、フッ化物濃度調整された飲料水を摂取し、家庭ではフッ化物配合歯磨き剤を用いて大きな虫歯予防効果をあげています。ただし、井戸水など自然の飲料水を使用している場合には、飲料水に含まれるフッ化物濃度を勘案しながら、多重応用する必要がありますので、詳しくは専門家にご相談ください。
効果を高めるには、定期的、且つ、継続的に、できれば頻回行うことが良いと言えます。
一般的には、間隔は通常6ヵ月に1回ずつで、虫歯になりやすい人であれば、2~3ヶ月に1回が望ましいことから少なくとも年に2回、できれば年に4~6回が良いでしょう。しかし、現実には、虫歯になりやすいかどうかは極めて予測が難しいため、年に4~6回塗布することを推奨します。
虫歯ができてしまっても手遅れではありません。
虫歯になっていない歯があるはずですし、虫歯の治療後の良好な予後のためにもフッ化物歯面塗布は効果的です。むしろ、虫歯にすでにかかっているのであれば、虫歯になりやすいと判定されますので、年に4~6回の塗布を推奨します。
口腔内細菌が作る酸により、カルシウムやリンが溶け出しますが(=脱灰)、唾液によりカルシウムやリンが補われます。(=再石灰化)
この再石灰化を促進するには、フッ化物が必要であり、フッ化物は歯の質を強化します。初期の虫歯の前駆状態(=CO)であれば、フッ化物歯面塗布法により健全な歯に戻すことが可能です。
【参考・抜粋】 今知っておきたいフッ化物応用の現状2008
社団法人 静岡県歯科医師会